久々の登場です。
パソコンが壊れたので修理に出していました。
ナタリー・ポートマン主演の
『ブラック・スワン』をDVDで観た!
洋画の新作で話題作だ。
その手のものには、近頃、積極的に
近づかないようになっていたのだが、
この作品は、強烈に観たくなった。
ナタリー・ポートマンの役者としての成長が
ウリになっているらしい。
彼女の出世作『レオン』にはまったく感心しなかったし、
『スター・ウォーズ』シリーズでのお姫様も、
まぁ、キレイになってきたなぁといった程度の
ひっかかりは極めて薄い感想しか持たなかった。
なので、特にナタリー・ファンでもない私だったが、
パッケージの彼女の顔と、
レンタル屋に流れていたデモ映像を観て、
「これは、俺がかなり好きなジャンルの映画かも」と
期待感を煽られてきた。
良い評判も聞こえてくる。
監督の前作『レスラー』(ミッキー・ローク主演)が
かなり魂に響いてくる作品だったし。
こいつは、観るしかないでしょー!!
観る前から、高揚感を抱くなんて、久々だな。
物語を大雑把に述べると、
『白鳥の湖』の主役に抜擢された
若手バレエ・ダンサーのナタリーは、
母子家庭で育ち、性格は真面目で純情。
だが、どこか神経症的な面がある。
演出家には「白鳥は完璧だが、黒鳥がぜんぜん駄目」と
プレッシャーをかけられる。
性に対して潔癖な性格であるがために、
奔放な黒鳥の演技が、どうもはじけないのだ。
演技での葛藤、常に自分を庇護(監視?)しようとする母への葛藤。
憧れていたプリ・マドンナの引退にまつわる事件。
自分とは全く正反対の奔放なダンサーへの羨望と嫉妬。
様々なプレッシャーが入り乱れ、彼女の精神のバランスが
静かに確実に壊れてゆく・・・・・・・
常に、自信なげで緊張した面持ちのナタリー。
なにかがおかしい。
なにかが。
表情がガンガン変化するナタリー・ポートマン。
凄い!惚れた!!
全編、息苦しい緊張感が漂っていて、
何気ないシーンでも、なにか不穏なことが起こる、
または隠されているのではと、観ているほうも
気が抜けなくなってくる。
物語が進むにつれ、彼女の狂気が明確になってゆき、
ショッキングなシーンも連発。
その度に、こちらの心臓もドキリ。
サイコ・ホラーとしては手堅い演出だ。
彼女を、真に追い込んでいるのは誰か?
といったようなミステリ的要素もあり、ぐいぐいと
物語に引きずり込まれる快感がある。
陰惨で最悪な結末さえ想像してしまう。
だが、ラストのラスト、クライマックスでは
私の心は震え、涙まで出そうなほどの至福に
いたった。
ああ、こうだよな、これでいいんだよな。
完璧な作品の為なら、あらゆるものを利用する。
他者を傷つけることもいとわない。
自分の狂気にも歯止めをかけない。
なんの為に?
至福、一瞬の至福のためさ。
映画を観る至福。
なにかしらの表現をする至福。
ホセ戦を闘い終わって
真っ白に燃え尽きた矢吹丈の姿を思い出した。
「狂ってるだって!?
生まれてこのかた、まともだったことなんて
一度もありやしなっかたよ!」
とは、映画『ツィゴイネルワイゼン』での
原田芳雄の台詞。
死にたくはないが、狂いたいなぁ。
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