たまにテレビを見ると
復興大臣のサイテー発言騒動・・・・・・
非常時に
政治家や官僚への批判は、あまりよろしくないと
思っていたが、さすがにゲンナリした。
最近、黒澤明映画を改めて見直している。
面白いと同時に色々、為になる。
代表作『七人の侍』
野武士の脅威から農村を守るために
古参の侍、勘兵衛が、侍たちを集めてゆく。
困難なプロジェクトを遂行するために
スッタフ選び、人材の短期育成、
限りある条件の下の作戦計画、
疲労したスッタフへのケアなど
勘兵衛は、知恵を絞って、
侍と百姓達を束ねて引っ張ってゆく。
人情の機微を知り尽くした男の
あまりに合理的な行動。
なにより、
あらゆる人物、あらゆる事態に
対してたいへん謙虚。
リーダーとは、こうあるべきという
見本の姿が、ここにある。
政治家・官僚たちに、
10回は観て頂いて、感想文を
400字詰め2枚で書いて頂きたい。
公開当時、
映画で描かれる作戦内容が、
現実の軍事的にも完璧だったので、
黒澤監督のもとへ、自衛隊の関係者が
話を聞きにきたらしい。
「誰か、軍事の専門家から
レクチャーなどを受けたんですか?」
との問いに黒澤は
「いや~、全部、脚本家と私の創作ですが、
戦争なんて、常識があればできるんじゃないですか?」
と言った。
主演の三船敏郎。
この大スター、人一倍、努力する人で、
現場に台本を持ってこなくても大丈夫な
くらい台詞を完璧に覚えてきてたそうだ。
そして、遅刻など絶対せず、
誰よりも早くに楽屋入りする。
だけど、決して、一人だけで先に現場入りして、
イイトコを見せたりせず、遅刻者を
待つ優しい人だったそうだ。
たった一分や二分ぐらい、待たされたぐらいで
ブーたれてんじゃねえよ!
当然ながら、
黒澤自身が、スーパーリーダーだった。
スッタフ・キャストへの注文も厳しいが、
自らが率先して、現場の下準備の
作業を行っていた人だったらしい。
あるスッタフは言う。
監督が、人一倍、働くから、皆もやらざるえなくなる。
デーンと構えて、偉そうなだけの監督じゃ
誰もついてこないよ。
まぁ、リーダーの悪口だけ言っていても
なんにもならない。
最初、助けることを渋っていた勘兵衛の心を
動かしたのは、百姓たちの熱意だった。
心を動かす政治家の不在を嘆く前に、
私たちが政治家の心を動かす庶民に
ならねばとも思う。
このお祭りは、
震災復興の一助になるような企画も含まれています。
お時間のある方は、どうぞご参加ください。
(スタッフとしてorお客さんとして)
詳細→http://www.heart-to-art.net/hajicco000.html
何事も、そう難しく考えることは無い。
常識を実行する努力を惜しまないことだけだ。
黒澤作品は、そんなことを現代の私たちに
訴えてくる遺書だと思う今日この頃。
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久々に映画館へと足を運んだ。
『デンデラ』という映画だ。
魂が震えた。
七〇歳を越えた老人は、
山に捨てられるという風習がある村。
冒頭、主人公の老婆が
山に捨てられる。
演じるは、浅丘ルリ子。
絶望的な状況。
死を受け入れようとするが
何者かに助けられる・・・・・・
なんと、山を越えた地で
かつて捨てられた老婆たちが、
生き残って自分たちの共同体を
作っていたのだ!
壮絶に厳しい雪山の美しさに感嘆し、
そこを舞台にサバイバルを繰り広げる
老婆たちの姿が胸が熱くなる。
浅丘ルリ子、恐ろしく格好いい。
あの、強靱な意志を感じさせる眼と
ドスの効いたハスキーボイス。
老婆なんて言えない。
美婆だ!
美婆!ルリ子!!
脇を固めるのも
草笛光子、倍賞美津子、山本陽子、赤座美代子・・・・・・・
錚々たるベテラン女優たち。
老人映画というと、深刻ぶったものや
人情ものが連想されるが、
この映画はまったく違う。
残酷な運命と闘うハードボイルドであり、
凶暴な大自然と闘うハードアクションなのである。
障害を背負った主人公のバトルが見せ場ということで
『座頭市』に連なるハンディ・キャップ・ヒーローものであり、
『緋牡丹博徒』から始まる女侠アクションの進化系であり、
また集団時代劇であり、山岳映画でありと
日本娯楽映画、最良のエッセンスが
濃厚に凝縮されている。
しかも、単に伝統を引き継いでいるだけでなく、
七〇越えた女性達のアクション映画という
世界にも類をみない新境地を開いてしまったのだ!!
美婆たちを襲うのは、雪山の過酷さだけでは無い。
なんと人食い熊が容赦なく襲いかかって来る!
ルリ子が、美津子が、熊と闘う!!
己の全存在を賭けて。
熊の凶暴演出、かなりハード。
バイオレンス映画、見慣れているはずの
私でも、かなりギョッとした。
私の席の近くには、
ご高齢の女性、仲良しグループが
いらっしゃった。
当然ながら
「ヒィッ!」という悲鳴が聞こえ、
目を背けている方もいた。
だけど、身を乗り出して食い入るように
観ている方もいた。
何度も何度も、過酷な状況が襲い、
何度も何度も、立ち上がろうとする主人公。
クライマックス、涙が出た。
上映終了後、お婆ちゃんグループが
いかなる感想を抱いたのか?
気になって耳をダンボにしてると・・・・・・・
「死んでも生きるんやなぁ・・・・・・」
というなんとも深い深いお言葉が。
毎度ながらダラダラ書きつづってしまった。
いくら言葉を重ねてもこの一言には勝てない。
補足
タイトルデザインは、スズキコージ。
この人も濃~い絵本作家、イラストレーター。
残念ながら、宣材では使われていない。
本編でしか目にすることが出来ない。
イメージデッサンも担当されているので
コージ・ファンも必見!