久々に映画館へと足を運んだ。
『デンデラ』という映画だ。
魂が震えた。
七〇歳を越えた老人は、
山に捨てられるという風習がある村。
冒頭、主人公の老婆が
山に捨てられる。
演じるは、浅丘ルリ子。
絶望的な状況。
死を受け入れようとするが
何者かに助けられる・・・・・・
なんと、山を越えた地で
かつて捨てられた老婆たちが、
生き残って自分たちの共同体を
作っていたのだ!
壮絶に厳しい雪山の美しさに感嘆し、
そこを舞台にサバイバルを繰り広げる
老婆たちの姿が胸が熱くなる。
浅丘ルリ子、恐ろしく格好いい。
あの、強靱な意志を感じさせる眼と
ドスの効いたハスキーボイス。
老婆なんて言えない。
美婆だ!
美婆!ルリ子!!
脇を固めるのも
草笛光子、倍賞美津子、山本陽子、赤座美代子・・・・・・・
錚々たるベテラン女優たち。
老人映画というと、深刻ぶったものや
人情ものが連想されるが、
この映画はまったく違う。
残酷な運命と闘うハードボイルドであり、
凶暴な大自然と闘うハードアクションなのである。
障害を背負った主人公のバトルが見せ場ということで
『座頭市』に連なるハンディ・キャップ・ヒーローものであり、
『緋牡丹博徒』から始まる女侠アクションの進化系であり、
また集団時代劇であり、山岳映画でありと
日本娯楽映画、最良のエッセンスが
濃厚に凝縮されている。
しかも、単に伝統を引き継いでいるだけでなく、
七〇越えた女性達のアクション映画という
世界にも類をみない新境地を開いてしまったのだ!!
美婆たちを襲うのは、雪山の過酷さだけでは無い。
なんと人食い熊が容赦なく襲いかかって来る!
ルリ子が、美津子が、熊と闘う!!
己の全存在を賭けて。
熊の凶暴演出、かなりハード。
バイオレンス映画、見慣れているはずの
私でも、かなりギョッとした。
私の席の近くには、
ご高齢の女性、仲良しグループが
いらっしゃった。
当然ながら
「ヒィッ!」という悲鳴が聞こえ、
目を背けている方もいた。
だけど、身を乗り出して食い入るように
観ている方もいた。
何度も何度も、過酷な状況が襲い、
何度も何度も、立ち上がろうとする主人公。
クライマックス、涙が出た。
上映終了後、お婆ちゃんグループが
いかなる感想を抱いたのか?
気になって耳をダンボにしてると・・・・・・・
「死んでも生きるんやなぁ・・・・・・」
というなんとも深い深いお言葉が。
毎度ながらダラダラ書きつづってしまった。
いくら言葉を重ねてもこの一言には勝てない。
補足
タイトルデザインは、スズキコージ。
この人も濃~い絵本作家、イラストレーター。
残念ながら、宣材では使われていない。
本編でしか目にすることが出来ない。
イメージデッサンも担当されているので
コージ・ファンも必見!
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