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[ 2024/05/19 14:05 | ]
アイドル映画監督

zissouzijpg.jpg











注!
今回もマンガのお話じゃございませんが、
キャラクター造形術のお勉強としてご了承ください。

アイドル映画監督とは何ぞや?

「アイドル映画」を撮る人のことではない。

御本人のキャラクターが、
アイドル的魅力を持つ映画監督のことを言う。

そもそも「アイドル的魅力」とは何か?

ミュージシャン小西康陽は

「大人が作った完成度の高いものの中に
 生身の女の子が見せるほつれ

だという。

プロの作詞家・作曲家が作った曲を
歌唱力や演技力のつたない少女が
歌う時に生じる未熟ゆえの
初々しい魅力ということになるだろうか。

映像考古学者・コンバットRECは
小西の論を引き継ぎつつ、
それは若い少女に限らないと言う。

例えばプロスポーツ選手のソングやCM。
本業ではとても優秀な選手が
歌手や演技者の立場に立たされた時、
素人ならではのたどたどしさによって
珍妙な空気が生まれる。

その「ほつれ」が、とても可愛い
ということだ。

そんな「アイドルほつれ理論」を
知って、はたと思い当たった。

作品自体の評価がとても高く、
映画監督として確立されている方で
御本人のキャラクターが
とても面白く、その発言などが
一部で注目されている人がいる。

映画好きの私は、
いわゆるアイドルの追っかけをしたことは
ないが、映画監督の追っかけはしたことはある。
雑誌のインタビューをチェックしたり、
舞台挨拶に出かけていったりと。

これまで、それは
表現の勉強のためだと
思いこんでいたが、
実はアイドル的に
楽しんでいたの面も
あるのではないか。

ほとんどが
作品そのものが好きで
監督を尊敬するようになり、
作品への想いと
監督の想いがイコール
であるのだが、
時には、作品そのものよりも
監督のキャラを楽しむほうが
上になっている場合がある。

今回はそのような
私にとっての
アイドル映画監督を
ご紹介しよう。

実相寺昭雄

ウルトラマン、ATGの芸術映画、AV、
ベストセラー原作の大作映画、
クラシックコンサートの中継、
オペラ、小説、エッセイ・・・・・
とどれが本業か説明できないぐらい
異様に多種のジャンルを手がけた異才。

元々は、TBSの演出部出身で、
本人いわく本職は「中継ディレクター」なのだそうだ。

だが、その言葉、どこまで本気かわからない。
この人の発言はいつも「適当感」が漂っているからだ。

私が、はじめてこの人の作品に触れたのは、
ウルトラマンであったと思う。

シリーズの中でも、どちらかというと
暗くメッセージ性の強い異色作を作る人と
して有名。

映像は
光と影のコントラストの強い照明、
不自然かつ大胆なカメラワークが特徴。

仏文出身のインテリなので
さぞかし真面目な芸術肌の方
かと思って
本人の映像や発言をみると
かなり面食らう。

現場で悩むのは嫌い。
出来るだけ早く終わらせて
お酒を飲みに行くことばっかり
考えている。

一生懸命やる俳優が嫌い。
一生懸命やって、よくなればいいけど
実際、そんなことはあまりないから。

あまりに飄々とした発言と態度に
真面目なインタビュアーが、
どう対応していいか困っていたのを
見たことがあった。

某作品の監督を引き受けた理由を、
「まぁ、仕事しないと喰っていけませんから」
などと言ったりする。

そうした発言は、
照れなのか本気なのか
わかりかねるとこが
お茶目で可愛い。

『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』
という映画がある。
簡単に言うとSF怪獣映画だ。
しかし、かなり奇っ怪な映画である。

バブル期の作品で、
宇宙人がリゾート開発を批判する
という内容。

怪獣は出てくるも、
開発現場を襲うだけで
怪獣映画の売りである
都市破壊スペクタクルの
カタルシスはほとんど無い。

暗い画面で延々、
日本史ミステリーの
講義をやったり、

古代人の思想を受け継ぐ
怪しい白装束集団が、砂浜で
延々と現代舞踏(田中泯!)やっったり、

音楽は重~い現代音楽(石井眞木!)だったり

「怪獣映画」を期待した子どもは唖然とし、
真面目な映画ファンなら怒りだすんじゃ
なかろうか。
おそらく制作母体の松竹も
怒ったんじゃないか?

私、初見は高校生だったが、
すでに実相寺信者だったので、
暴走っぷりにしびれていた。

そして、
暴走は作品内容にとどまらない。

この映画、エンドクレジットに
「実相寺ちな坊」という名が出る。

実相寺ファンなら、誰もが知る
監督のご長男である。
といっても生身の人間ではない。
アライグマのぬいぐるみなのである。

この頃、監督は実際の娘に相手に
されない寂しさを紛らわすために
ぬいぐりみを可愛がるようになった。

その愛情が高じて、作品に出演させる
までに至ったのである。
(ただし、知らない人には気にならない
 程度のさりげなさで)

たしか、他人(後輩)の作品にも
出させていたんじゃないかな~?

実相寺監督は、マニア気質であり、
色々なモノのコレクターでもある。
いかにも大人の良い趣味な
コレクションもあるけど、
「けろけろけろっぴ」というような
大人の男としてはちょっと痛いかんじの
ものもある。

けろけろけろっぴには
特に熱心らしく
現場にけろっぴTシャツを
着てくるぐらいで、
家族には
「変態けろけろけろっぴ親父」とまで
言われていたそうだ。

人目を気にしないコレクター気質が
細部にこだわる映像演出に反映されている
のだろう。

マニアック&カルトな作品作りをする人は
たくさんいるが、あまりにそおいう線を狙い
過ぎるものは嫌みやあざとさを感じることも
多々あるが、
実相寺監督には、それが無い。

『帝都物語』をお正月映画だから
「旗本退屈男」みたいな映画に
しようとしたと仰っていた。
まっとうにエンターティメントを
作ろうという姿勢である。

だが、映画は、映像の勢いはあるが、
ストーリーはさっぱりわからないという
ような怪作になった。
(私にとっては快作なんだけどね)

端からカルト作品を目指して
いるわけでなく、
本当に天然に、真面目にやってたら
こうなってしまったという
ようなお茶目な人なのだと思う。

「細部にこだわられますよね」という
インタビューに対して

細部にしか気がまわっていなんですよね。
僕は全体を見る才能が無いんですよ。

という反省の弁を述べられていた。
可愛いではないか~!

そして
ご自身の姿が
フィギュア化されたことがある!

実相寺昭雄が
アイドルである証拠である!

次回は第二弾
「アイドルとしての宮崎駿」を
お送りします。

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[ 2011/06/05 16:13 | Comments(2) | TrackBack() | 技術 ]

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1. posted by    2011/06/06 02:20
ここで「アイドル魅力論」やコンバットRECの名前を読めるとは思わなかった。
以前ラジオでは、コンバットREC曰くアイドル論でプロ野球界を観ると、知名度や名プレイヤーとしても長嶋茂雄の素行がほつれと思えるところだが、「完成度の高い中にみえるほつれ」という意味では彼は普段から壊れている天然であり、実は当てはまらない。普段真面目でありながら、ふとした時に見せるほつれを持つ人物として、知名度も人気もある人物としては王貞治になる様だ。普段真面目で大人な人物が布団のCMで見せる絶妙なほつれ具合こそが、アイドルとしての魅力と成り得るとの事だ。そういう意味では、今回の監督もその行為や思想は天然であるだけでアイドルの魅力では言えない事となる。
Re:無題
コメントありがとうございます。
実は、自分でも書きながら
「ほつれ理論」からは外れてるな~と
思ってました。
でも、実相寺監督が可愛いのは
間違いなく、私にとってはアイドルなんで
強引に書いてしまいました。
今後は、もっと説得力を上げていくよう
精進いたします。
2011/06/06 21:13
2. posted by  2011/06/07 12:37
いえ、こちらこそどうも失礼しました。後から読み返してみて、ただの揚げ足とりな事を書いてしまったと思いました。つい、こんなマニアックな話が出来る嬉しさに周りが見えなくなってしまいました。どうも失礼しました。
Re:無題
サブカル話題に「つっこっみ」はかかせません。
また、つっこみどころがありましたら、
遠慮無くお願いいたします。
2011/06/08 00:47

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